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まちづくり

2022.02.28

「よそ者、ばか者、若者」が金沢区を変える!ー地域活動家・二見翼さん

地域活動家二見翼さん

金沢区

よく地方創生に向いている人間は「よそ者、ばか者、若者」と言われます。やや不謹慎かもしれないけれど、今回話を聞かせていただいた二見翼さんの話を聞いていると、なんだかこの三要素がしっくりくるような気がしたのです。

生まれは金沢区。一度都内に出たあと、今から7 年ほど前の31 歳のころに金沢区へ戻ってきた二見さん。現在は専業主夫をする傍ら、「金沢区の魅力の向上と発信」をコンセプトに地域活動家として活動しています。

金沢区のために、コミュニティの垣根も年齢の壁も乗り越えて奮闘する、二見さんの活動について伺いました。

金沢区に戻る前の二見さんは、ごく普通の会社員だったそう。帰るきっかけになったのは、20 代後半ころに、地元の友人に誘われて「並木サマーフェスタ」を久しぶりに訪れたときのこと。幼いころから続く夏の恒例行事の、あまりに寂しい光景に愕然としたのだと言います。

「僕が幼かったころは、ものすごい人でごった返しになって、歩けないほどのにぎわいでした。屋台もずらーっと、富岡八幡宮への参道の両脇いっぱいにあったんですけど、全部なくなっていて ……。心なしか人も少なくなった気がして、すごく寂しかったんです」

この衝撃を機に、初めて金沢区に興味を持ち始めた二見さん。昨今の人口の増減はどうなっているのか、住んでいる人たちはどう感じているのかなどについて、調べるようになったのだそう。

「調べていくうちに行政や地域活動団体が、人口増加やにぎわい創出の活動をしていることは分かりました。けれど果たしてそれが本当に住民に求められていることなのか、住む人を増やすための魅力向上につながっているのかが、疑問に思えたんです」

過去には江ノ島を拠点にライブイベントを行って年々集客数を増やし、スポンサーをつけるほどになるなど、イベントプロデュース業の実績もあった二見さん。自分の人脈やスキルをつかえば、金沢区内のイベントも、街のみんなを巻き込んだ大きなものとなり、街全体の魅力にもつながっていくのではないかと考えました。

こうして少しずつ、二見さんの活動が始まっていきます。

都内から金沢区へ移住してからまず始めたのは、地域で活動するさまざまな団体に顔を出し、仲間に入れてもらうこと。例えば来場者数3 万人を超える大型イベントを仕切る「金沢文庫芸術祭」の実行委員会や、公園愛護会などの団体です。持ち前のトーク力でどんどん仲間を増やしていったのだそう。現在関わる団体数は、10 を超えるのだとか。

ご縁をつなげてもらいながら、少しずつ人が集まる場所をつくるための活動をしたり、金沢区内の小学校に行って授業を一緒にやらせてもらったりするなど、活動の幅を広げていきます。

「僕は金沢区が本当に好きで、金沢区に僕という人間をつくってもらったと思っているんです。だからできるだけ感謝を返したい。そう思って地域活動をしています。

小学校にお邪魔させてもらったのも、これほどいい環境で生活できていることへの感謝などを、少しでも伝えられたらと思って始めました」

一方で中に入ってみて見えてきたこと、課題を感じることもあるのだそう。

「金沢区のなかにも山ほど地域活動団体があるんです。でも同じようなことをやっていても、横のつながりがあまりないんですよね。みんな得意なこと、苦手なことがあるので、そのピースを上手くはめていけたら、もっと可能性が広がるのではないかと感じます。

いまは育児をしていることもあって、複数のママサークルに顔を出して、イベントを仕掛けようと模索しているところでもあるんです。

一つの場所に属することにこだわっていない僕が、地域活動団体間をつなぐハブになれたらいいなぁと思っています」

二見さんに地域活動をする上で大切にしていることをうかがったときに、教えてくださった言葉が印象的でした。それは「チームの中の誰か一人が、輪を乱すような発言をしたときに、できるだけ相手が言いたいことを理解しようとする」という言葉。

「否定することは簡単なんです。でも否定することで、その言葉の奥にある可能性を失ってしまうことは、もったいなぁって。なぜこの人は逆のことをいうのだろう?その真意が理解できれば、別の手段について話し合えるかもしれないじゃないですか」

普段私たちが過ごしている会社や学校などの、 “社会のチーム” の中でも、こうしたことは往々にしてあるでしょう。自分の考えが否定され続ければ、きっと発言をすることすらしなくなってしまうかもしれない。二見さんはそうした少数派の意見にもしっかり耳を傾けることを、大切にしています。それは過去にあった自身の経験が活きていました。

「僕自身がずっと否定されてきたこと、でしょうね。突拍子もないことを言ったり、やったりしたがっていたんで(笑)。否定されるのが嫌で、自分の考えが言えなかったり、無難な結論に流されたりした時期もありました。

でも目立つようなことをしないと、街を知ってもらったり、変えていくことは難しい。ダメだと言うことは簡単だけれど、その先にある可能性をつぶすくらいなら、折り合いをつけていくための対話を続けるなど、これからも努力していくつもりです」

いま二見さんが少しずつ蒔いている種が芽を出し始めたら ……。いずれは「金沢区モデル」を確立して、全国の地方自治体に事例を持って伝えていく活動をしたい、と夢を描きます。

「よそ」に行って視野が広がったからこそ、見えることがある。「ばか」なフリをして突拍子もないことを思いつくから、発展がある。まだまだ地域活動家の中では「若手」だから、柔軟に動き回れて、SNS などの発信もお手のもの。

金沢区を良い方向へ変えていく改革者の一人として、二見さんがどんな活動をされていくのか。今からとても楽しみです。

二見翼さんさん

地域活動家

1982 年生まれ、金沢区並木出身。
都内で広告の営業をしながら様々な地域活動をし、36歳で結婚。今年6 月の第1 子誕生を機に、仕事を辞め専業主夫になりました。

地域活動費を作るため、金沢区オリジナルグッズ「YOKOHAMA KANAZAWA FANTASTIC
TOWN」を制作販売中。利益は全て地域活動費として使っています。

地域活動の様子や男の子育てをYouTube で配信中。

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