よりみちガーデンとは?

かなざわ人物語

よりみちガーデン

2022.10.05

【対談】「地元の方々の生活に寄り添えているのが嬉しい」出店者とイベント主宰者が語る“よりみちガーデン”という場所

金沢文庫

よりみちガーデンは、2021年春に誕生した金沢区の中心地にあるコミュニティ広場。京急電鉄の分譲マンション「プライム金沢文庫」マンションギャラリーの一角に、地域の方が自由に使えるタイニーハウスなども設置され、これまでマルシェやイベントなどがいくつも開催されてきました。

今回は、そんなよりみちガーデンで「よりみちコーヒースタンド+マルシェ」などのイベントを企画・運営してきた、パンとコーヒーマルシェ主宰の臼井彩子さんと、臼井さんの企画に賛同して何度も出店をしているHACHIDORI COFFEEの松本友紀子さんと八木亜美さんにインタビュー。よりみちガーデンでイベントを実施する前と実施してからの変化や、地域の皆さんとの交流、金沢区エリアにおけるよりみちガーデンの魅力について語っていただきました。

 

“運命的な出会い”でよりみちガーデンでの出店を決めた

――臼井さんとHACHIDORI COFFEEさんはいつからのご関係なのでしょうか。

臼井さん(以下、臼井):よりみちガーデンをスタートするときにコーヒーをテーマにした企画をしたのですが、そのときにお声かけしたのが最初の出会いでした。

日常的に立ち寄れる場所になったというイメージで、マルシェの企画以外に、キッチンカーにもお声かけしようと考えたんです。で、第一号でHACHIDORI COFFEEさんに来ていただくことにしました。

HACHIDORI COFFEE 松本さん(以下、松本):もともと臼井さんが主宰されているイベントの雰囲気がすごくよくって、いつか一緒にお仕事したいなって思っていたんです。でも、どこに問い合わせたらいいかわからなくて、二人で問い合わせ先を探してたんですよね。そしたら、臼井さんの方からご連絡をいただいて。しかも3人とも同い年ということも判明して……これは運命だなって思いました!

――それは運命的な出会いですね……!初めてよりみちガーデンを訪れたとき、どんな印象を持ちましたか。

松本:国道16号線からよりみちガーデンのタイニーハウスが見えるんですよね。車で走っているときに、「あのおしゃれな建物はなんだろう」ってずっと気になってたんです。初めてうかがったのは出店の打ち合わせのときだったのですが、素敵すぎてもう興奮しちゃって。「絶対、出店します!いや、出店させてください!」ってその場で言っちゃったと思います(笑)。

臼井:もともと金沢区エリアに身内が住んでいたし、主宰しているマルシェで金沢区のパン屋さんに出店してもらっていたこともあって、エリア自体にはすごく親近感があったんです。ただ、最初によりみちガーデンに行ったときは、正直ちょっと心配になりました……。区役所のそばとはいえ、駅から距離があって人通りがそれほど多くない場所なんですよね。屋外で開催するので、悪天候だとさらに人を呼ぶのが大変になりそうだなと。

でも、やってみないとどんな感じになるか分からないので、とにかくチャレンジしてみようと。

予想外に多くの人が来場。出店のたびに“常連さん”が訪れるように

――はじめてイベントを実施したときは、いかがでしたか?

臼井:思った以上に多くの人が来てくれたんですよね。近隣の方は、金沢文庫駅か金沢八景駅のいずれかの駅前まで行かないと買い物ができないんですけど、その際に必ず通りかかる場所にあるんです。その行き帰りで足を止めて、買ってくださる方が多いんです。目の前のマンションにお住まいの方も「何かやっているのかなと気になって来ました」と行ってくださったり。逆に駅から離れた場所に住んでいる皆さんにとっては「わざわざ駅まで行かなくてもいい」って思っていただいているみたいです。

マルシェをやったときも、パン屋さんはすぐに売り切れちゃうし、HACHIDORI COFFEEさんも行列になっちゃいましたしね。こんなに需要があるのかと驚きましたね。

松本:よりみちガーデンのそばってカフェがほとんどないんですよね。「ここでコーヒーを売ってくれてありがとう」っていう言葉をいただくことも多くって。

八木:出店してすごく感じたのは、お子さま連れが結構多いエリアなんだなということです。よりみちガーデンはまるで近所の公園のような場所なんですよね。私も子どもがいるので、これが近くにあったら絶対行くなって思いますし。

――出店されて特に印象に残っている出来事ってありますか?

松本:目の前のマンションで、毎回買いに来てくれるご家族に小学生の女の子がいるんです。最初はお父さんとお母さんと一緒に来てたんですが、そのうち自分でお財布を持ってきて「お父さんのレモネードください」って来るようになったんですよね。お父さんとお母さんに聞いたら「初めてのおつかいなんだ」って。その子もレモネードが好きで、夏休みの絵日記にレモネードを描いてくれたそうなんです。こんなに嬉しいことはないですよね。

ほかにも、お腹が大きくて買いに来てくれてた人が数カ月後に赤ちゃん連れて来たりとか、地元の方々の生活に寄り添えているっていうのも嬉しいですね。地域に溶け込んでいるな、地域の一部になれたかなっている感じがします。

八木:キッチンカーって固定の店舗じゃないから、常連がつかないって思っていたんですよね。でも、よりみちガーデンに出店するたび来てくださる常連さんがいるので、それが一番嬉しいですね。ほかの地域にはない温かさも感じます。

――よりみちガーデンで出店する際と他の場所に出店されるときで違いはありますか?

松本:例えば、お客さんが一人で買いに来ていて、他のお客さんが来た時に、お客さん同士で「これおいしいよ」って声をかけあったりしてるんです。私が「お知り合いですか?」って聞くと「全然」って(笑)。そういうやりとりは他の場所ではなかなかない光景ですね。

八木:私がちょっと忙しくしていると、並んでるお客さんが次のお客さんにメニューを渡してくれてたりするんですよね。そういう輪がどんどん広がって行く感じが楽しいなって思いますね。

あと、出店者同士の交流もあります。すごくおいしいショートブレッドを出しているお店の方と仲良くなって、うちのキッチンカーでも扱わせていただくことになりました。

 

金沢区の皆さんと一緒に時を刻んでいきたい

――臼井さんは、イベントを重ねる中で変化を感じることはありますか?

臼井:近隣だけじゃなくて、なかにはちょっと離れたエリアから電車でいらっしゃる方もいらっしゃるようになりました。出店されている方も「金沢区エリアってこんなに需要があるの?」ってびっくりしますね。

あと、地元の方に助けていただくことも多いです。出店予定だったお店がキャンセルになってお野菜が並べられなくなったときは地元の農家さんを教えていただいたり、「子ども向けのコンテンツもあったほうがいいんじゃない?」とバルーンアートの方を紹介していただいたりとか、たくさん手伝っていただいてます。

このエリアには素敵な人がたくさんいて、急に始まったイベントでも気にかけてくれたり、自発的に協力して連携してくれたり。皆さん、すごく温かいんです。

――金沢区エリアに対するイメージは変わりましたか?

臼井:毎回行く度に「ここに住みたいなぁ」って思いながら帰りますね。住んでいる方の関係性がすごくいいです。

松本:もともと車でも電車でも通過するだけで、立ち寄るとしたら子どもと水族館や遊園地に行くくらいだったエリアだったんです。でも、金沢区の地図をよくよく見たら、海もあるし山もある。公園も多いし、ショッピングする場所もある。こんなに便利で魅力的な場所だったんだなって思いました。人の温かさはもちろんですが、暮らすのにもすごくいいエリアなんだなって思いますね。

八木:都会すぎないし、田舎すぎないから、住むのにも子どもを育てるのにもちょうど良いですよね。
あと、私、もともと京急線をあまり使ってなかったんですが、使い始めたら「横浜も横須賀も近いし、なんて便利なんだ!」って思いました。それもひっくるめて、この辺って住みやすいだろうなぁって思いますね。    

――今後、よりみちガーデンがどんな場所になったらいいなと思っていますか?

臼井:少しずつファミリー層でも楽しめる場所と認識されるようになってきたと思いますね。これからも子どもたち向けの企画も用意して、親子で楽しんでもらえる場所になってもらえたらいいですね。

松本:平日に出店していると、夕方下校中の小学生が私たちに話しかけにきてくれることもあるのですが、親目線でいうと、普段何もない場所に大人がいてくれるだけで安心感があると思うんです。子どもの成長を見守るような立場というか。小さい商売が大きい地域に根づいて、地域の安心の一つになれたらいいなって思ったりしますね。

八木:私は、もともと駄菓子屋のおばあちゃんに憧れがあったんです。駄菓子屋のおばあちゃんって、子どもを見守るとかそういう要素がつまっていると思ってて。そういう存在になって、地域に住む皆さんと一緒に時を刻んでいけたら幸せだなって思いますね。

地域の子どもたちがいずれ大きくなって、デートでHACHIDORI COFFEEに来てくれるとか、その子の人生の1ページに存在できたらとても喜ばしいです。

 

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