よりみちガーデンとは?

かなざわ人物語

金沢区ママ

2021.05.24

地域で子育てを支え合うことが、当たり前の街にしたいー「子育てサークル金沢区ママ」代表、上野さやかさん

子育てサークル金沢区ママ代表 上野さやか

金沢区

必要なものは、自分たちの手でつくっていく―――。

 

その想いを胸に、金沢区に住む子育て中のママたちを繋ぎ、フリーペーパーの制作やイベント開催を行う、「子育てサークル金沢区ママ」代表の上野さやかさん。金沢区近辺で開催されているイベントなど、役立つ情報を発信するInstagramのフォロワー数は、現在1400人を超えます。

 

14年という長きにわたって活動をしてきた上野さん。最近では2017年に閉園した「ルンビニーわらべ園」跡地を借り、子育て支援と地域活性化を目的としたコミュニティスペース「ルンビニー -つながりの庭-」をオープン。同所に金沢区ママシェアスペースとして「monmo」も開き、地域の子育ての拠点づくりに奔走しています。

 

自身も子育てをしながら活動を続ける上野さんに、活動への想いと、金沢区の魅力を聞いてみました。

 

上野さんの生まれは、横浜市南区あたり。10歳のころに金沢区能見台に移り住んできて以来ずっと、この地で生活してきました。

 

その後結婚を機に、ご主人が住んでいた金沢文庫に住むことになり、22歳の若さで出産。しかし慣れ親しんだ能見台と金沢文庫では、周辺環境のギャップが大きく、当時は困惑したのだそう。周りにどんな人が住んでいるのかも分からず、ママたちが集まる会に参加してみても、皆自分より年上……。情報がなく、孤独感を感じる日々も多かったといいます。

 

と、普通だったらここで立ち止まってしまう人が多いなか、上野さんは違いました。この原体験を元に「情報がないなら、自分から発信すればいいんだ」と動き出します。当時流行していたmixiのコミュニティを通じて呼びかけてみたところ、意外にも同じような悩みを持つ同世代のママが、金沢区には多くいたのだそう。

活動はSNS上のコミュニケーションだけにとどまりません。フリーペーパーの制作やハンドメイド雑貨を販売するイベントを開催するなど、次第に規模は大きくなっていきました。

 

上野さん「ママたちって、ただ家で家事をしているだけではないんですよ。空いた時間にハンドメイド雑貨を作ったり、資格取得を目指していたり。もちろん仕事で培った編集や撮影、営業などのスキルを持った人もいる。みんな、ママの顔以外にもいろんな能力を持っているんです」

 

個々のスキルは高いにもかかわらず、自分一人では「私なんか……」と躊躇してしまうもの。そんなママたちを束ね、先陣をきって歩く上野さん。自分が住んでいる地区にこんなママさんがいたら、どれほど心強いでしょう。

惜しまれながら閉園した「ルンビニーわらべ園」。ユニークな建物の構造も特徴的

 

そんな上野さんがいま奔走しているのは、「地域の居場所づくり」。かつてシュタイナー教育(一人ひとりの個性を尊重し、個人の持つ能力を最大限に引き出す教育)にも力を入れていて、惜しまれながら閉園した「ルンビニーわらべ園」の跡地を活用し、「ルンビニー -つながりの庭-」をオープンしたのです。

 

上野さん「これまでSNSを通じて、情報発信などをしてきました。イベントやランチ会をする際には、フリースペースを借りて、みんなで交流をしていたんです。でもどうしても時間が合わない人もいるし、すべての人と交流できるわけではない。そこでやっぱり拠点をもちたいな、と。いつでも誰かがそこにいて、みんなで子育てを見守ることができる場所。そんな場所を作ろうとしています」

体操教室も実施。自然とママ同士の交流も生まれる

 

新しくつくった「ルンビニー -つながりの庭-」には、子どもを地域の大人に預け、ママが働けるコワーキングスペースを設けたり、広い園庭に農園を作って食育を学べるようにしたり。さらに近隣の学生が子どもたちと触れ合う機会をつくるようにするなど、ママだけにとどまらず幅広い世代が交流できるようにしたいと話します。

金沢区は横浜一広い「海の公園」を筆頭に公園自体の数も多く、自然豊かで買い物にも困らないエリア。動物園や水族館など、子どもが楽しめる施設も多く、子育てする環境には最適だと、上野さんは改めて振り返ります。

 

上野さん「金沢区は、みんなでハッピーになろうよって考え方の人が多い気がします。私がこんなイベントをやりたい、こんな場所を作りたいと言ったときには、必ず誰かが人を繋いで助けてくれました。人脈を独り占めするような人が、ほとんどいないんです」

 

喫茶店でも、ファミレスでも、地区センターでもない。どこにもないけど、みんなが欲しかった集まれる場所を、自らつくる。将来的にはこの場所が、自分だけでなく、地域のみんながやりたいことを見つけ、何かを始めるきっかけになればと願っているのだそう。

 

上野さんの「やりたい」を叶えてきたバトンを、次の人に渡す場所。地域の人がより主体的に、イキイキと生活しやすくなるであろう金沢区のこれからが、今からとても楽しみです。

 

上野さやかさん

子育てサークル金沢区ママ代表

1985年、横浜市南区生まれ。祖父母の家が金沢区にあり、幼少期より金沢区内へよく来ていた。小学5年生のときに金沢区能見台へ転居。中学、高校も金沢区。アルバイトもずっと金沢区。区内の保育園で15年勤める。長男出産の際に子育てサークル金沢区ママを立ち上げ、現在も活動している。

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