かなざわ探訪
シャーロン
2022.06.27
大切な味を守りながら、進化を続ける老舗洋菓子店「シャーロン」
シャーロン
金沢区西柴
京浜急行線「金沢文庫」駅東口から、歩くこと15分。少し急な坂道を上って行くと、住宅
街の中に突如現れるのが、今回ご紹介する洋菓子屋「シャーロン」です。
店の中の様子をうかがっていると、店員さんが「こんにちは。最近お体いかがですか?」と
か「先日買われたケーキ、お味はいかがでしたか?」など、常連さんに声をかける様子が印
象的でした。周辺で暮らす人々の生活に根づいている様子が分かります。
そんなシャーロンの店主、金子久記(かねこ・ひさのり)さんに、お店のこと、洋菓子への
こだわり、そして大切にしている想いについて話を聞かせていただきました。
シャーロンは久記さんのお父様が昭和51年に創業され、今年で46年目を迎えます。先代
は80歳を越えた今でも、毎日作業場に入る現役の職人さん。親子二代に渡って、この地でお店を守り続けてきました。
もともと磯子プリンスホテル(後に横浜プリンスホテルに名称変更)で、洋菓子作りに励んでいた先代が独立のために選んだのは、ここ西柴地区。まだ住民もまばらで、交通の便も悪かった開発地でした。当時は「こんな場所でやっていけるのか?」と周囲から心配されたそう。「父に先見の明があったんでしょうね」と、久記さんは笑います。
ずっと地域住民の方に愛され続けているシャーロンの客層は、上は80代の方から、下は生
まれたばかりの赤ちゃんまで。三世代に渡って通い続けてくださっている方も多いのだそう。
また時を経て主要道路への開通工事もおこなわれたため、金沢区だけでなく、横須賀・鎌
倉・逗子など幅広いエリアから訪れる方も増えてきているのだとか。
しているため、お芋の味をしっかり感じることができます。さらに特徴的なのがスイートポ
テトに、パイ生地を敷いているところ。サクッとした食感と、くちどけの良いお芋との相性
が抜群です。
一口サイズになった「スモールポテトパイ」は、さまざまな味が楽しめるのも特徴。初期の
頃にはプレーン味だけでしたが、今ではチョコレート・ホワイトチョコレート・レモンチョ
コレート・ウォールナッツ・アプリコットの5つの味が加わりました。一つずつ買って手
土産に持って行けば、きっと喜ばれるはず。色とりどりのポテトパイがケーキ箱に詰められ
た姿は、まるで宝石箱のようにキラキラと輝いています。

に愛されているロールケーキです。濃厚な「那須御養卵」や、口どけが良くきめ細やかなス
ポンジができる「特宝笠」という小麦粉を使用するなど、こだわりがいくつもあります。
うちのショートケーキの生クリームは、乳脂肪分47%とやや高めのものを使用しているん
です。今の時代だと、もう少し軽さを求められたりもしますが、ずっとこの味でやってきた
ことで、お客様がついてくださっていると思うので、変えません。
ていいもの、変えちゃいけないものを、常に自分の中で考えているんです」

てみると、今日誕生日ケーキを予約された方々のお名前を記しているのだそう。そうした小
さな心づかいの積み重ねが、またこのお店を利用したいと思う理由の一つになっているよう
な気がします。
そして、久記さんが目指しているのは「日常に寄り添う、洋菓子屋さん」とのこと。
とない『ケ』の日にも、関われたらいいなって思うんです。例えば以前、夫婦喧嘩をした仲
直りのために、ケーキを買いに来たというご主人がいらっしゃいました。

た事業の一つ。大手のモールなどから出店の誘いがたびたびあるものの、「自分たちの手の
届く範囲で商売をしたい」という想いは変わりません。
今では「昔近所に住んでいて、久しぶりに食べたくなり注文しました」なんてうれしい声も
あるのだそう。

現在他店で修行をされているという息子さんが、後を継いでくれるのではないかと話す、久
変化を加えることと、大切に守り抜いていくこと。
です。