よりみちガーデンとは?

かなざわ探訪

solamazakka

2021.09.27

「solama zakka」で出会える、唯一無二の雑貨。店でうまれる “つながり”とは。

solama zakka

金沢区能見台

能見台駅から徒歩3分ほどのところにある雑貨店「solama zakka」。ほっこりする雰囲気の店内には、ハンドメイド作家が丁寧に作り上げたピアスやヘアアクセサリーなどが並んでいます。もともと物作りが好きだった店主・出町萌さんが2018年にオープンし、看板犬・コロネちゃんとお客さんを出迎えています。

来店客の多くは30~50代の女性ですが、男性が買いに来ることも。お客さんから、「能見台にかわいい雑貨屋さんができて嬉しい」と言われると出町さんも嬉しくなるそう。

「ネットでもモノが買える時代ですが、作家の手作りの一点ものの作品に、みなさん特別な思いや価値を見つけてくださっているのかなと思います」

美大生時代に出会った雑貨店に心奪われ「私もあんな店を持てたら」

愛知県出身の出町さん。幼少期から物作りが好きでした。母親の影響で手芸をはじめ、絵もよく描いていたそうです。その後、美大でグラフィックデザインを勉強するため、神奈川県に移り住みました。

当時、出町さんの姉は「カフェをやりたい」と話していたそう。姉がカフェをやり、出町さんがラッピングシールなどのデザインを担当するお店を姉妹でできたらと、カフェや雑貨店を一緒に巡っていました。そんなある日、出町さんはある雑貨店に足を踏み入れます。いろいろな作家の作品を置く 委託販売 のお店でしたが、それは出町さんの夢を具体的に“”するきっかけとなりました。

「まるで宝箱をひっくり返したような、夢があふれるお店に出会ったんです。それから自分でも雑貨店を開いたら楽しいだろうな、と考え始めたんです」

大学卒業後、出町さんは雑貨店で3年、カフェで5年働き、開業を目指しました。ただ、カフェでの仕事は体力的にきつく、しんどさを感じ始めていました。出町さんがカフェに関し不安を覚え始めたころ、姉の「カフェを開く」という夢も違う方向に変わったことを知り、ある決断を下しました。

「姉も考えが変わったようで、ここで一区切りつけようと思いました。本当は雑貨カフェをやりたかったのですが、雑貨店だけなら一人でもできると思ったのでやってみようと思ったんです」

一人で雑貨店を開くことを決めた出町さん。カフェを辞め、開業準備を始めました。まず用意したのが「夢ノート」。店の間取りや、商品ディスプレイなど、具体的な「こうだったらいいな」を描いていきました。

湧き出るアイデアを形にするべく、物件探しも開始。自宅から通いやすい場所で物件を探していたところ、もともと北欧雑貨店だった現在の物件を見つけました。

「お店はナチュラルな雰囲気でとても気に入りました。ハンドメイド作家の作品を置く委託販売のお店やると決めていたので、どんな作品がやってきても馴染むと思いました」

大量生産のアクセサリー店にはない強みは、作家の顔が分かること

物件が決まると、次は作品 集めに取りかかりました。インスタグラムなどで、素敵 な作品をアップする作家に声をかけ、オープンまでにおよそ20人の作家を集めました。開業後は地元 のハンドメイド作家から作品を置かせてほしいと連絡 があったり、すでに店に作品を置く作家が別の作家を紹介 してくださったりと、少しずつ作家の数が増えていったそうです。オープンからおよそ3年たった現在、その数は約60人になっています。

「ハンドメイドのいいところは、壊れた時や、イヤリングの片方を無くした時でも、修理をしたり、片方だけ作ったりということも可能なところです。普通のアクセサリー店にはできないことだと思いますし、気に入ったものを長く愛用できるので、とてもいいことですよね」

店名は、美大生の頃に考えた、「solama zakka」に。「solama」は「 空間」を「そらま」と 音読 みさ せたもの。作家にとっても、お客さんにとっても心地よい 空間になってほしいという願いが 込められています。そして、その願いの通り、あらゆる人にとって、素敵な空間になっています。

まずは、作家とお客さんの交流 の場になったということ。お客さんがいるときに、作家が
納品に来ると、作家とお客さんが会話を交わすこともあるそうです。普段 一人で作業することの多い作家にとってはお客さんからフィードバックがもらえる貴重 な機会になり、また、お客さんにとっては作り手の顔が分かるので、安心に繋がるといいます。

さらに、ワークショップを開催してみると、思わぬつながりを生むことになりました。

「お客様と作る楽しさを一緒に共感できれば、とワークショップを 企画 しました。講師 である作家さんと参加 したお客様がつながったのはもちろんですが、その参加者同士もつながったんです。参加される方はハンドメイド好きの方ばかりなので、話が弾むんですね。ほかにも、ハンドメイド作家さんが参加者 として体験しにいらっしゃることがありました。その方が講師の作家と繋がることで、作家同士での情報交換ができたとうかがいました」

また、能見台の駅前商店 街にあるお店とのコラボも実現しています。化粧 品販売などで知られるPOLAとは、母の日ギフトなどを販売するなど店同士 が連携 し、商店街の活気づけとなっています。
こうして、solama zakkaは地域 でのつながり、作家同士 のつながりをもたらす空間となっているのです。

「人と人とのつながりってすごいなと、お店をやっていて本当に思います。お店を始めた頃、はとっても大変だった。開業するのが初めてだった、という意味でも大変でしたし、なによりお客様に来ていただくためにお店を知ってもらわないといけませんでした。大々的に 宣伝 にお 金かけられなかったんですのですが、お客様が友達 を連れてきて、またその方が別の方と来店してくださって 。そうやって少しずつ認知していただいたのです」……

実は犬との入店もできるsolama zakka。犬の 散歩途中 に店をのぞくお客さんが、犬と来店することもあるそうです。犬も友達づくりができる珍しい雑貨店なのかもしれません。

もともとは愛知県出身の出町さん。能見台という新たな 土地 で、お店を通じて人と出会い、つながりを持つ中で、 地域 の一 員となっていきました。そんな出町さんに地域 で働く上で大切にしていることを質問 すると、改めて「 地域 のつながりと人との出会い」だと強調しました。

「能見台を盛り上げようと店舗同士 で協力したり、まちづくり ワークシ ョップに 参加 したりと、能見台でお店を始めてから地域 の人 柄の良さを感じています。私がこの街のためにできることって何だろうと考えて、貢献していきたいですね」

「いずれはカフェ雑貨をやりたい」と語る出町さん。一度はあきらめたカフェをやるという夢をもう一度描き始めたのは、作家さんやお客さんなどのおかげだという。

「『本当はカフェもやりたかったんだ』という夢を打ち明けると、応援 して 協力してくれる仲間にも出会えました。こうしたつながりも広がる 素敵 な『空 間』になっていることが嬉しいです」

すでにスイーツの試作なども開始しているのだとか。雑貨に囲まれながらお茶をしたり、ワークシ ョップしたりしたいと期待に胸を膨らま せています。もっと気軽に立ち寄れるお店をめざして、出町さんはきょうもお店に立っています。

 

solama zakka

能見台駅から徒歩3分ほどのところにある雑貨店。ほっこりする雰囲気の店内には、ハンドメイド作家が丁寧に作り上げたピアスやヘアアクセサリーなどが並んでいる。2018年にオープンし、看板犬・コロネちゃんと店主がお客さんを出迎える。

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